この不思議を体感しようという観光客と、現象の解明と魔氷石目当ての魔法使いたちでグラキエストは賑わい、いつしか『夢見の都(ゆめみのみやこ)』と呼ばれるようになっていた。

そのグラキエストの中心にそそり立つ、都市の誕生よりも古くからある巨大な塔。

頂は晴れることのない厚い雲海の先にあり、見たものは誰もいない。夢魔が巣くい、ひとびとの夢を糧に、天に向かって果てしなく伸び続けると噂されるその塔は『レヴェリアの角(つの)』と呼ばれていた。